幕下は「ほぼ関取」の集まり!? 元関取23人がひしめく、いちばん厳しい場所
関取と幕下のあいだには大きな差があるけれど、幕下の力士はほんとうに強い。九月場所の幕下120人を数えたら、元関取が23人、元幕内も7人。その全員と、九月場所の成績をまとめました。
幕下の取組、なんだか迫力がちがう
国技館で朝から見ていると、幕下の取組になったとたん、空気がぐっと変わる気がします。体の大きさも、当たりの強さも、取組のスピードも、一段上がる感じ。「あれ、この人もう関取じゃないの?」って思う力士が、幕下にはたくさんいるんです。
前に「関取と幕下以下の違い」の記事で、給料や付け人、締め込みなど、関取と幕下のあいだには大きな差があることを書きました。でも、その差は待遇の話。実力でいうと、幕下の力士はほんとうに強いんです。今回はそれを数字で確かめてみました。
【写真:幕下の取組(黒いまわしどうしの熱戦)】
【ふきだし】黒まわしなのに、関取みたいに強い人がいっぱい!
【用語カード】幕下(まくした)
十両のすぐ下の地位。東西60枚、120人の力士がいます。十両に上がれば「関取」になれるので、幕下は関取への最後の関門。1場所に取る相撲は7番で、給料はなく、締め込みも締められません。
幕下には、元関取がこんなにいる
まず数えてみたのが、幕下の中に「元関取」が何人いるか。けがや不調で十両から落ちてきた力士が、幕下にはたくさんいるんです。
気になって数えた:九月場所の幕下
【データカード】
項目 | 数字 |
|---|---|
幕下の人数 | 120人(東西60枚) |
元関取(最高位が十両以上) | 23人(約19%=5人に1人) |
そのうち元幕内 | 7人 |
元関取のうち、幕下15枚目以内 | 11人 |
九月場所で勝ち越した元関取 | 21人中9人(全休の2人をのぞく) |
平均体重 | 144.8キロ |
平均年齢 | 25.6歳 |
出典:相撲レファレンス(Sumo Reference)の令和8年9月場所の番付と、各力士の最高位・成績から、筆者が数えたもの
幕下120人のうち、元関取は23人。だいたい5人に1人が、一度は関取になったことがある力士なんです。そのうち7人は幕内まで上がったことがあります。
【手書きメモ】幕下=5人に1人が元関取! 元幕内も7人
九月場所の幕下にいた元関取、全員
九月場所の時点で幕下にいた元関取を、番付の順に全員並べてみました。太字は幕内経験のある力士、⭐は九月場所で勝ち越した力士です。
四股名 | 最高位 | 九月場所の番付 | 九月場所の成績 |
|---|---|---|---|
西ノ龍 | 十両4 | 東下1 | 3勝4敗 |
欧勝海 | 前頭11 | 東下2 | 全休 |
日向丸 | 十両13 | 西下2 | 2勝5敗 |
大花竜 | 十両13 | 西下5 | 3勝4敗 |
藤天晴 ⭐ | 十両13 | 東下6 | 4勝3敗 |
夢道鵬 ⭐ | 十両14 | 西下6 | 4勝3敗 |
荒篤山 | 前頭16 | 東下7 | 2勝5敗 |
白鷹山 | 十両3 | 西下10 | 全休 |
對馬洋 ⭐ | 十両9 | 東下11 | 5勝2敗 |
天空海 | 前頭10 | 東下14 | 2勝5敗 |
三田 ⭐ | 十両3 | 西下15 | 5勝2敗 |
大辻 ⭐ | 十両12 | 西下16 | 5勝2敗 |
栃武蔵 | 十両7 | 東下17 | 3勝4敗 |
志摩ノ海 | 前頭3 | 西下19 | 3勝4敗 |
貴健斗 | 十両4 | 東下20 | 2勝5敗 |
魁勝 | 十両2 | 西下29 | 2勝5敗 |
三重ノ富士 | 十両10 | 東下30 | 3勝4敗 |
花の富士 ⭐ | 十両13 | 東下33 | 4勝3敗 |
島津海 ⭐ | 前頭12 | 西下33 | 4勝3敗 |
栃丸 ⭐ | 十両11 | 西下35 | 5勝2敗 |
朝玉勢 | 十両12 | 西下43 | 3勝4敗 |
北磻磨 ⭐ | 前頭15 | 西下46 | 4勝3敗 |
鳰の湖 | 前頭16 | 西下58 | 2勝5敗 |
出典:相撲レファレンス(Sumo Reference)の令和8年9月場所の番付と、各力士の最高位・成績から、筆者がまとめたもの
幕下筆頭の西ノ龍から、幕下58枚目の鳰の湖まで、幕下のあちこちに元関取がいます。いちばん上まで行ったことがあるのは、前頭3枚目までのぼった志摩ノ海。幕内経験者だけでも7人いて、ふつうに幕内の土俵で見ていた名前がならんでいるのにびっくりしました。
元関取でも、勝ち越すのはたいへん
もっとびっくりしたのが、九月場所の成績。元関取23人のうち、全休の2人をのぞいた21人で、勝ち越したのは9人だけでした。半分以上が負け越しなんです。
一度は関取になった力士でも、幕下では簡単に勝てない。それだけ、幕下には強い力士がそろっているということですね。十両から落ちてきた元関取、勢いのある若手、学生相撲で実績を残して「幕下付出」でデビューした力士。いろんな力士が、関取への少ない枠をめざしてぶつかり合っているのが幕下なんです。
【手書きメモ】元関取でも勝ち越しは21人中9人!
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【まとめ枠(墨ベタ)】
- 幕下の取組は午後の早い時間。少し早めに会場に行って、幕下の取組を見てみてください。関取顔負けの相撲が見られます。
- 番付表で元関取の名前を見つけたら、応援してあげてください。関取に戻るための勝負の場所です。
- 幕内や十両で見ていた力士が、幕下でどんな相撲を取っているか追いかけるのも、相撲の楽しみ方のひとつです。
※この記事の数値は、筆者が自分で調べて数えたものです。正確とは限りませんので、ご了承ください。