文字

小結と前頭筆頭、そんなに違う? 新三役の3人に2人が負け越していた

平成以降の新三役123人のうち81人が、初めての三役で負け越し。前頭上位と比べて数えたら、跳ね返されて見える理由が見えてきた。

小結と前頭筆頭って、そんなに違う?

秋場所も終盤。昔からずっと気になっていることがあります。

今場所、新小結の伯乃富士は12日目まで3勝9敗。負け越しが決まってしまいました。

でも、ちょっと不思議なんです。小結と前頭の上のほうって、当たる相手はほとんど同じ。横綱、大関、関脇とは、前頭筆頭でも小結でも当たります。当たる順番だって、そこまで変わらない。

それなのに、初めて三役に上がった人が、1場所で前頭に戻ってしまうのを何度も見てきた気がします。これって、気のせい?

【写真:会場外(国技館の幟/番付表など)】

【手書きメモ】相手はほぼ同じなのに、なんで?

【ふきだし】新三役って、そんなに跳ね返されてるの!?

【用語カード】新三役(しんさんやく)

三役は、大関の下にある関脇と小結のこと。その三役に初めて上がった力士を「新三役」と呼びます。ほとんどの人は小結から上がりますが、成績によっては前頭から関脇に一気に上がることもあります。三役で負け越すと、次の場所は前頭に下がります。

気になって数えた(1)新三役の3人に2人が負け越し

平成元年1月場所から令和8年7月場所までに新三役になった123人の、初めての三役の場所の成績を数えてみました。

【データカード】

項目

数字

新三役になった力士

123人

その場所で負け越し(休場を含む)

81人(65.9%)

勝ち越し

42人(34.1%)

4勝以下の大敗

36人

平均の勝ち星

6.24勝

出典:相撲レファレンス(Sumo Reference)番付・成績検索。平成元年1月場所〜令和8年7月場所

【手書きメモ】3人に2人が負け越し! 気のせいじゃなかった

やっぱり、気のせいじゃありませんでした。新三役の3人に2人が、その場所で負け越しています。4勝以下の大敗も36人。3人に1人くらいは、大きく跳ね返されています。

気になって数えた(2)じゃあ、前頭上位と比べると?

ここで、もうひとつ気になりました。前頭の上のほうも、相手は同じ。だったら同じくらい負け越しているのかもしれません。同じ期間で比べてみました。

【データカード】

地位

負け越しの割合

平均の勝ち星

前頭2枚目

70.1%(448場所中314)

5.97勝

前頭筆頭

62.5%(448場所中280)

6.48勝

新三役(初めての三役の場所)

65.9%(123人中81)

6.24勝

2回目以降の小結

54.1%(379場所中205)

6.98勝

出典:相撲レファレンス(Sumo Reference)番付・成績検索。平成元年1月場所〜令和8年7月場所

【手書きメモ】前頭2枚目のほうが負け越してる…!

意外でした。負け越しの割合だけで見ると、前頭2枚目のほうが新三役より厳しいんです。横綱・大関とぜんぶ当たる地位は、どこでも大変ということなんだと思います。

それでも「新三役は跳ね返される」と感じるのは、たぶん負け越したときの見え方がちがうから。前頭筆頭で負け越しても、少し下がるだけで上位には残れます。でも小結で負け越すと、「三役」という肩書きそのものがなくなります。番付表でも目立つから、「跳ね返された」という印象が強く残るんですね。

そして、2回目以降の小結だと負け越しは54.1%まで下がります。同じ小結でも、2回目の人のほうが12ポイントくらい勝ち越しやすい。はじめての三役には、相手の強さとは別の「壁」があるのかもしれません。

気になって数えた(3)跳ね返されたあと

最後に、跳ね返された81人がそのあとどうなったのかも数えてみました。

【データカード】

項目

数字

あとで三役に戻ってきた

81人中51人(63%)

のちに大関になった

81人中10人

(参考)新三役で勝ち越して、のちに大関

42人中20人

出典:相撲レファレンス(Sumo Reference)番付・成績検索

【手書きメモ】貴景勝も御嶽海も、新三役は負け越しだった

跳ね返されても、6割以上の人がまた三役に戻ってきています。のちに大関になった10人の中には、貴景勝(5勝10敗)、高安(5勝10敗)、御嶽海(6勝9敗)、正代(7勝8敗)もいます。1回跳ね返されるのは、終わりじゃなくて、よくあるスタートなんだと思いました。

令和に入ってからは19人中9人の負け越しで、少し跳ね返されにくくなっています。今場所は、前頭から関脇に一気に上がった新三役の藤ノ川が、12日目までに9勝で勝ち越しを決めました。伯乃富士も、すぐに戻ってきてくれると信じています。

次に行く人へ

【まとめ枠(墨ベタ)】

  • 番付表で「新」と付いた三役を見つけたら、その人の星を毎日追いかけてみてください。3人に2人は負け越す、いちばん苦しい場所です。
  • 勝ち越したら、それだけですごいこと。新三役で勝ち越した42人のうち、20人がのちに大関になっています。
  • 負け越しても、がっかりしなくて大丈夫。6割以上の人が、また三役に戻ってきます。

※この記事の数値は、筆者が自分で調べて数えたものです。正確とは限りませんので、ご了承ください。