「関脇が強い場所は面白い」って本当? 藤ノ川の11勝と37年分の数字
新関脇の藤ノ川が大関3人を倒して11勝。関脇が強い場所は、独走優勝が56%から37%に減っていた。新大関の9割は関脇から。
解説の人たち、みんな同じこと言ってる
秋場所、終わっちゃいましたね。15日間ずっと追いかけていました。
相撲を見はじめてから、ずっと気になっている言葉があります。テレビでも、ネットの記事でも、解説の人がよく言うんです。「関脇が強い場所は面白い」って。
正直、最初はピンときませんでした。関脇って横綱・大関の下だよね? 上の人が強いほうが盛り上がるんじゃないの?って。
でも今場所、藤ノ川を見ていて、ちょっとわかった気がしたんです。
【写真:会場外(国技館の幟/番付表など)】
【手書きメモ】関脇=大関のすぐ下。でも「挑戦する側」のいちばん上
【ふきだし】関脇が強いと、なんで面白くなるの!?
【用語カード】関脇(せきわけ)
大関の下、小結の上にある地位で、小結と合わせて「三役」と呼ばれます。関脇で好成績を続けると大関に上がれます。目安は「三役で直近3場所33勝」です。横綱・大関とは毎場所ほぼ全員と当たるので、関脇が勝つということは、上の人たちが星を落とすということでもあります。
今場所の藤ノ川がすごかった
藤ノ川は今場所が新三役。しかも小結を飛ばして、前頭筆頭からいきなり関脇になりました。幕内に上がって8場所目です。
その藤ノ川が、大関を3人も倒しました。6日目に安青錦、9日目に琴櫻、12日目に霧島。11日目には横綱の大の里に寄り切られたけど、最後まで優勝争いに残っていました。
そして千秋楽は、関脇どうしの対決。相手は熱海富士です。藤ノ川が掬い投げで勝って11勝4敗。敢闘賞ももらいました。
【データカード】
日目 | 相手 | 結果 |
|---|---|---|
6日目 | 大関・安青錦 | ○ 寄り切り |
9日目 | 大関・琴櫻 | ○ 上手投げ |
11日目 | 横綱・大の里 | ● 寄り切り |
12日目 | 大関・霧島 | ○ 押し倒し |
15日目 | 関脇・熱海富士 | ○ 掬い投げ |
最終成績 | 11勝4敗(準優勝・敢闘賞) | |
出典:相撲レファレンス(Sumo Reference)取組検索、NHKニュース(2026年9月27日)
【手書きメモ】大関に3連勝! 上の人がどんどん星を落とした
優勝は大の里の12勝3敗。藤ノ川とは1勝差でした。大関が3人とも藤ノ川に負けていたから、終盤まで「誰が勝つの?」ってずっとドキドキしていられたんだと思います。
一方で、大関とりの場所だった熱海富士は8勝7敗。12勝が必要だったので、大関とりは仕切り直しです。千秋楽の関脇対決は、大関に近づく人と、大関とりが止まった人の一番でした。見ていて胸がぎゅっとなりました。
気になって数えた(1)関脇が強い場所は、独走が減る
本当に「関脇が強いと面白い」のか、平成元年1月場所から令和8年9月場所までの225場所を数えてみました。関脇の誰かが11勝以上した場所と、そうでない場所で比べています。
【データカード】
項目 | 関脇が11勝以上した場所(84場所) | それ以外(141場所) |
|---|---|---|
優勝が14勝以上の「独走」 | 36.9% | 56.0% |
横綱が優勝 | 48.8% | 59.6% |
優勝決定戦になった | 27.4% | 22.0% |
出典:相撲レファレンス(Sumo Reference)番付・成績検索。平成元年1月場所〜令和8年9月場所
【手書きメモ】独走が56%→37%! ちゃんと数字に出てる
関脇が強い場所だと、14勝以上の独走優勝が56%から37%まで減っていました。横綱の優勝も少なくなって、決定戦も増えています。関脇が上の人たちから星を奪うから、優勝の行方が最後までわからなくなるんですね。
ただ、正直に書くと、関脇本人が優勝した場所を外して数えると、決定戦の割合はほとんど変わりませんでした(22.7%と22.0%)。「面白い」のいちばんの理由は、関脇がほかの人の優勝争いをかき回すことより、関脇自身が優勝争いに入ってくることみたいです。
気になって数えた(2)関脇は、未来の大関の通り道
もうひとつの理由が、大関とりです。
【データカード】
項目 | 数字 |
|---|---|
平成以降の新大関 | 34人 |
そのうち、直前の場所が関脇だった人 | 31人(91%) |
関脇で11勝以上した回数 | 505場所中96回(約5人に1人) |
関脇での優勝 | 18回(そのうち13回が2018年以降) |
出典:相撲レファレンス(Sumo Reference)番付・成績検索。平成元年1月場所〜令和8年9月場所(関脇の成績は令和8年7月場所まで)
【手書きメモ】新大関の9割は関脇から!
新大関の9割は、直前の場所が関脇でした。関脇で11勝すると「大関とりの始まり」と言われて、次の場所からは1番ごとに「大関まであと何勝」の話になります。関脇が強い場所は、その場所だけじゃなくて、次の場所、その次の場所まで物語が続くんです。
それに、関脇の優勝は18回のうち13回が2018年以降。今は、関脇が普通に優勝する時代なんだと思います。
来場所が、もう楽しみ
藤ノ川は今場所の11勝が、大関とりの起点になるかもしれません。熱海富士も、もう一度関脇で勝ち星を重ねれば、また大関とりに挑めます。関脇が2人とも強い九州場所になったら、きっとすごく面白い。
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【まとめ枠(墨ベタ)】
- 番付表を見たら、まず関脇の2人をチェック。前の場所で何勝したかで、大関とりの場所かどうかがわかります。
- 関脇と大関の取組は、優勝争いの分かれ目になりやすい一番。中盤から後半は特に見逃さないでください。
- 関脇が11勝したら、それは次の場所へ続く物語の始まり。来場所の番付発表も一緒に楽しみましょう。
※この記事の数値は、筆者が自分で調べて数えたものです。正確とは限りませんので、ご了承ください。