四股名に使っちゃダメな文字ってあるの? 同じ読みは禁止、「川」は縁起が悪い…なのに藤ノ川
四股名に使える文字に細かい決まりはないけれど、現役力士・年寄名跡と同じ名前や同じ読みはダメ。「川」は縁起が悪いと避けられてきたのに、新関脇の藤ノ川が大活躍。今の関取70人の四股名も数えてみました。
四股名って、自由に決めていいの?
番付表を眺めていると、四股名ってほんとうにいろいろ。漢字1文字の「輝」もいれば、4文字の「熱海富士」もいるし、ひらがなの「の」が入った「大の里」もいます。
じゃあ、四股名って好きな文字で自由に決めていいのかな? それとも、何か決まりがあるのかな? 調べてみたら、はっきりした「ルール」と、なんとなく守られている「縁起」の両方がありました。
【写真:会場外(国技館の幟/番付表など)】
【手書きメモ】ルール(ダメなもの)+縁起(避けたいもの)+部屋の伝統
【ふきだし】ひらがな1文字の四股名まであったの!?
【用語カード】四股名(しこな)
力士が土俵で名乗る名前のこと。師匠や後援者がつけることが多く、日本相撲協会に届け出て使います。四股名を変える「改名」は、場所が終わった千秋楽から番付編成会議までのあいだに届け出て、次の場所の番付から変わります。場所の途中で名前を変えることはできません。
決まり:同じ名前・同じ読みはダメ
使える文字そのものに、細かい決まりはないそうです。漢字がほとんどですが、昔は下の名前がひらがなやカタカナの力士もいたし、ひらがな1文字の四股名の力士までいたそうです。
そのかわり、はっきり決まっているのが「かぶり禁止」。前相撲の力士をのぞいて、次の名前とは、書き方も読み方も同じにできません。
- いま現役の力士の四股名
- 親方が名乗る年寄名跡(としよりみょうせき)
- 行司の家の名前(木村・式守)
1970年の秋場所からは、漢字がちがっても、読み方が同じ四股名は認められなくなりました。だから、番付表に同じ読みの力士は2人いないんです。
縁起:「川」は避けられてきた
決まりではないけれど、昔から避けられてきた文字もあります。
- 「川」:水が流れる=土俵から「流れる(押し出される)」イメージがあるから
- 「山」を「さん・ざん」と読むこと:「散々(さんざん)」を連想するから
でも、ここでおもしろい発見がありました。「川」は避けられてきた文字のはずなのに、今の関取には「藤ノ川」がいます。伝統:部屋ごとの「冠(かんむり)」
部屋によっては、所属する力士の四股名に同じ文字をつける伝統があります。
- 高砂部屋の「朝」(朝乃山、朝白龍、朝紅龍、朝翠龍)
- 佐渡ヶ嶽部屋の「琴」(琴櫻、琴勝峰、琴栄峰)
- 伊勢ヶ濱部屋の「富士」(熱海富士、伯乃富士、義ノ富士、錦富士、尊富士など)
- 九重部屋の「千代」(千代翔馬)
四股名を見るだけで、どこの部屋の力士か想像できるのは、この冠のおかげです。反対に、高安・正代・宇良のように、本名のまま土俵に上がる関取もいます。
気になって数えた:今の関取70人の四股名
【データカード】
入っている文字 | 人数 | 例 |
|---|---|---|
「の・ノ・乃・之」 | 14人 | 大の里、藤ノ川、伯乃富士、朝乃山、寿之富士 など |
「富士」 | 8人 | 熱海富士、伯乃富士、義ノ富士、錦富士、尊富士、寿之富士、嵐富士、翠富士 |
「海」 | 8人 | 美ノ海、平戸海、御嶽海、佐田の海 など |
「龍・竜」 | 7人 | 豊昇龍、朝白龍、出羽ノ龍、竜電 など |
「山」 | 6人 | 朝乃山、豪ノ山、金峰山、大青山 など |
「川」 | 1人 | 藤ノ川 |
出典:相撲レファレンス(Sumo Reference)の令和8年9月場所の番付から、筆者が数えたもの
【手書きメモ】3文字の四股名がいちばん多い(41人)!
文字数で見ると、3文字が41人でいちばん多く、2文字が20人、4文字以上が8人。1文字は「輝」だけでした。「富士」は8人もいて、伊勢ヶ濱部屋の多さを感じます。そして「川」は、やっぱり藤ノ川ひとりだけ。だからこそ、藤ノ川の活躍がなおさらかっこよく見えました。
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【まとめ枠(墨ベタ)】
- 四股名の最初の1文字を見ると、どこの部屋の力士かわかることがあります。「朝」「琴」「富士」は覚えておくと便利です。
- 番付表に同じ読みの力士はいません。読み方がわからない四股名は、番付表のふりがなでチェック。
- 改名した力士は、新しい番付で名前が変わります。番付発表の日に探してみてください。
※この記事の数値は、筆者が自分で調べて数えたものです。正確とは限りませんので、ご了承ください。