関取の番付、どうやって上がって、どうやって下がるの? 横綱から十両まで、地位ごとのルールと目安
横綱は下がらない、大関は2場所連続の負け越しで陥落、三役は空き次第、前頭は勝ち越しの数が目安。十両以上の「関取」の番付の上がり方・下がり方をまとめました。
番付って、誰がどうやって決めてるの?
相撲を見はじめたころ、いちばんわからなかったのが番付の動き方でした。勝ち越したのに上がらなかったり、負け越したのに大関のままだったり。「ルールがあるのかないのか、どっち?」ってずっと思っていました。
調べてみたら、地位ごとに「決まっていること」と「目安」がありました。今回は、十両から上の「関取」の番付の上がり方と下がり方をまとめてみます。
【写真:会場外(国技館の幟/番付表など)】
【手書きメモ】決まっていること+目安+その場所の空き具合=番付
【ふきだし】地位によって、ルールが全然ちがう!?
【用語カード】関取(せきとり)と番付編成会議
十両以上の力士を「関取」と呼びます。幕内は42人、十両は28人で、人数は決まっています。次の場所の番付は、場所が終わってすぐに日本相撲協会の審判部が「番付編成会議」で話し合って決めます。番付表が発表されるのは、次の場所の初日のおよそ2週間前です。
横綱:下がらない。だから重い
横綱は、どんなに負け越しても番付が下がることはありません。そのかわり、成績が悪い場所が続くと、休むか、引退するかを考えなければいけなくなります。下がれないからこそ、いちばん厳しい地位なんだと思います。
横綱に上がる目安は「大関で2場所続けて優勝、またはそれに近い成績」。横綱審議委員会の意見も聞いて決まります。
大関:2場所続けて負け越すと落ちる
大関は、1場所負け越しただけでは落ちません。負け越した次の場所は「カド番」と呼ばれて、そこでも負け越すと関脇に落ちます。
でも、ひとつだけ救いがあります。関脇に落ちた最初の場所で10勝以上すれば、すぐに大関に戻れるんです。
大関に上がる目安は「三役(関脇・小結)で直近3場所の合計33勝」。
【用語カード】カド番(かどばん)
負け越した大関が迎える次の場所のこと。この場所で勝ち越せば大関のまま、負け越せば関脇に陥落します。
関脇・小結:勝ち越しても、空きがないと上がれない
関脇と小結は、合わせて「三役」。どちらも東西に最低1人ずつ、2人以上いることになっています。好成績の人が多いときは、3人目が置かれることもあります。
三役で負け越すと、基本的に下に落ちます。関脇で負け越せば小結か前頭へ、小結で負け越せば前頭へ。反対に、勝ち越しても上の地位に空きがなければそのまま。新三役の記事で書いた「跳ね返される」が起きるのは、この地位です。
前頭:「白星と黒星の差」の数だけ動くのが目安
前頭は、勝ち越せば上がり、負け越せば下がります。よく言われる目安は「白星と黒星の差の数だけ枚数が動く」というもの。
- 8勝7敗なら、差は1つ → 1枚くらい上がる
- 9勝6敗なら、差は3つ → 3枚くらい上がる
- 10勝5敗なら、差は5つ → 5枚くらい上がる
- 7勝8敗なら、差は1つ → 1枚くらい下がる
- 5勝10敗なら、差は5つ → 5枚くらい下がる
たとえば前頭10枚目で10勝5敗なら、次は前頭5枚目くらい。前頭3枚目で6勝9敗なら、前頭6枚目くらい、という感じです。
【用語カード】枚(まい)と半枚(はんまい)
番付の「1枚」は、前頭5枚目と前頭4枚目のような、数字ひとつ分の差のこと。同じ数字でも東のほうが上なので、東と西の差を「半枚」と呼びます。西の前頭5枚目から東の前頭5枚目に上がったら「半枚上がった」です。
気になって数えた:目安は本当に当たる?
この目安がどのくらい当たっているのか、平成12年(2000年)から令和8年7月場所までの前頭(2枚目より下)で数えてみました。
【データカード】
成績 | 目安 | 実際の平均 | 真ん中の値 | いちばん少ない〜多い |
|---|---|---|---|---|
11勝4敗 | 7枚上がる | 7.0枚上がる | 7枚 | 3〜11枚 |
10勝5敗 | 5枚上がる | 5.4枚上がる | 5枚半 | 1〜10枚 |
9勝6敗 | 3枚上がる | 4.1枚上がる | 4枚 | 半枚〜11枚 |
8勝7敗 | 1枚上がる | 2.4枚上がる | 2枚 | 0〜9枚 |
7勝8敗 | 1枚下がる | 0.8枚下がる | 1枚 | 2枚半下がる〜1枚半上がる |
6勝9敗 | 3枚下がる | 2.3枚下がる | 2枚半 | 0〜5枚 |
5勝10敗 | 5枚下がる | 4.1枚下がる | 4枚 | 2〜7枚半 |
出典:相撲レファレンス(Sumo Reference)番付・成績検索。平成12年1月場所〜令和8年7月場所の前頭2枚目以下(東西の差を半枚として計算。十両に落ちた場合は除く)
【手書きメモ】10勝・11勝は目安ぴったり! 8勝・9勝は目安より多めに上がる
10勝5敗と11勝4敗は、目安とほぼぴったりでした。おもしろいのは8勝7敗と9勝6敗で、目安より1枚くらい多く上がっています。反対に負け越しは、目安より少しだけ下がり幅が小さめ。勝ち越した人は少し得をして、負け越した人は少し救われる、という感じです。
でも、いちばん少ない〜多いの幅を見ると、同じ8勝7敗でも0枚から9枚まで。7勝8敗なのに上がった人もいました。上の地位の人がたくさん負け越せば大きく上がれるし、みんな勝ち越していれば上がりにくい。目安はあくまで目安で、これが「番付は生き物」と言われる理由です。
十両:幕内との入れ替えと、幕下との入れ替え
十両の上のほうで勝ち越すと、幕内から落ちる人と入れ替わって幕内に上がります(新入幕・再入幕)。十両の下のほうで負け越すと、幕下の上のほうで勝ち越した人と入れ替わって、幕下に落ちます。
幕下に落ちると「関取」ではなくなります。給料がなくなり、大銀杏も結えなくなり、付け人がつかなくなる。十両と幕下の入れ替えは、力士にとっていちばん大きな境目です。
休場したらどうなる?
けがで休んでも、番付の上では負けと同じ扱いになります。15日間ぜんぶ休むと、0勝0敗15休として、大きく番付が下がります。以前はけがで休んでも地位が守られる「公傷制度」がありましたが、今はありません。
まとめ:関取の番付 早見表
【データカード】
地位 | 上がる目安 | 下がるとき |
|---|---|---|
横綱 | — | 下がらない(成績不振なら休場・引退) |
大関 | 大関で2場所連続優勝か、それに近い成績 → 横綱 | 2場所連続の負け越しで関脇へ(翌場所10勝で復帰) |
関脇・小結 | 三役で直近3場所33勝 → 大関 | 負け越すと下の地位へ |
前頭 | 白星と黒星の差の数だけ上がるのが目安(実際は空き次第) | 白星と黒星の差の数だけ下がるのが目安 |
十両 | 上位で勝ち越し → 幕内へ | 下位で負け越し → 幕下へ |
【手書きメモ】「決まり」は大関まわりだけ。あとは目安と空き次第!
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【まとめ枠(墨ベタ)】
- 大関の成績を見るときは「カド番かどうか」をチェック。カド番の大関の8勝目は、とても大事な1勝です。
- 前頭の番付予想は、自分の成績だけじゃなく、上の地位の人の成績も並べて考えてみてください。
- 十両の下のほうと幕下の上のほうの取組は、「関取になれるかどうか」をかけた勝負。早めに会場に行くと見られます。
※この記事の数値は、筆者が自分で調べて数えたものです。正確とは限りませんので、ご了承ください。