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呼吸を合わせて、でも一瞬早く。立ち合いは0コンマ何秒の勝負

立ち合いは「呼吸を合わせて」立つもの。でもその中で、一瞬でも早く、低く、強く前に出た方が有利になります。九月場所の幕内295番を数えたら、約3分の2が前に出て勝つ決まり手でした。

「ドンッ」の一瞬で、もう決まってる

立ち合いの瞬間、時間いっぱいになって、ふたりが手をついた次の瞬間、「ドンッ」とぶつかる音。そこから数秒で勝負がついてしまう取組も少なくありません。

立ち合いは「呼吸を合わせて立つ」もの、と前に書きました。でも、見ているとそれだけじゃないみたい。呼吸を合わせた、その中で、ほんの一瞬でも早く立った方が、ぐっと有利になっているんです。

【写真:立ち合いでぶつかる瞬間】

【ふきだし】まばたきしてたら見逃しちゃう!

【用語カード】踏み込み(ふみこみ)

立ち合いで、相手に向かって最初に踏み出す一歩のこと。この一歩が速く、深く、低いほど、相手より先に当たって主導権をにぎりやすくなります。続く二歩目で、さらに相手を押しこんでいきます。

呼吸を合わせるのに、早く立つ?

最初は「呼吸を合わせる」と「早く立つ」って、矛盾してるように思いました。でも、呼吸を合わせるのはあくまで「同時にスタートする」ためのルール。スタートしたあとは、0コンマ何秒でも早く、低く、強く当たった方が勝ちに近づきます。

先に当たった方は、相手の体を起こして、自分の得意な形に持ちこめます。押し相撲の力士なら一気に前へ、四つ相撲の力士なら先にまわしをつかみに。逆に一瞬遅れると、相手の当たりを受けてしまって、後手後手になってしまうんです。

【手書きメモ】呼吸を合わせる=スタートをそろえる/早く立つ=その中で先手をとる

相撲では昔から「立ち合いで8割決まる」と言われているそうです。それくらい、最初の一瞬が大事なんですね。

二歩目も大事

早く立つだけじゃなく、当たったあとの二歩目も大事。御嶽海は、当たったあとに素早く二歩目を出して、さらに相手を押しこむことを意識していると話していました。最初の一歩で先に当たって、二歩目で一気に持っていく。速さが続くほど、相手は立て直せません。

早すぎ・前のめりにも注意

ただ、とにかく早く前に出ればいいわけでもありません。勢いよく前に出すぎて頭が下がると、相手に体をかわされて、叩き込みや引き落としで落とされてしまうこともあります。また、両手をしっかりつかずに立つと、立ち合い不成立でやり直し。早さと正確さ、両方が必要なんです。

気になって数えた:九月場所 幕内の決まり手

【データカード】

決まり手

回数

割合

寄り切り

89

約30%

押し出し

72

約24%

押し倒し・寄り倒し

22

約7%

突き出し・突き倒し

7

約2%

前に出て勝つ決まり手 合計

190

約64%

叩き込み・引き落とし(引き技)

29

約10%

投げ技・その他

76

約26%

出典:相撲レファレンス(Sumo Reference)の令和8年9月場所の幕内の取組結果(不戦勝をのぞく295番)から、筆者が数えたもの

幕内の295番のうち、寄り切りや押し出しなど、前に出て勝った決まり手は190番。約3分の2が「前に出た方の勝ち」でした。立ち合いで先に当たって、そのまま前に出る相撲がやっぱり強いんだなと思います。

一方で、叩き込み・引き落としの「引き技」も29番(約10%)。前に出る勢いを逆に利用された取組です。立ち合いの一瞬は、攻める側にも守る側にも勝負どころなんですね。

【手書きメモ】前に出て勝つ=約64%! 引き技=約10%

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【まとめ枠(墨ベタ)】

  • 行司が「時間です」と言ったら、目をはなさないで。勝負はほんとうに一瞬です。
  • どっちが先に前に出たか、どっちの頭が低いかを見ると、立ち合いの勝ち負けがわかります。
  • 会場では、ぶつかったときの「ドンッ」という音にも注目。テレビでは伝わらない迫力です。
  • 見逃しても大丈夫。会場のビジョンやテレビのスロー映像で、立ち合いの一瞬を見返してみてください。

※この記事の数値は、筆者が自分で調べて数えたものです。正確とは限りませんので、ご了承ください。